東京の夏はやはり暑い

東京に戻ってざっと5か月たった。大連では夏らしい夏というのを感じない2年を過ごしたが、東京の夏はやはり比較にならないぐらい暑いなというのを今実感している。

先日は飲みなれない酒をなんとなく友人と飲んだ。私は元来下戸なのだが、酒の味自体は嫌いではない。友人の持ってきた酒は口当たりの良い清酒だったのでついつまみを食いながらコップで2杯ほど飲んでしまった。

いまだに扇風機で過ごしているので部屋は蒸し暑く、そこに酒の効果もあっていつになくからだが火照った。珍しく酔ったような感じになりちょうど前頭葉がぼんやりしてきたような感じを楽しんでいた。しばらく友人と馬鹿話をしているうちに一気に眠くなり私は横になった。

どれほど時間が経ったのか吐き気で目が覚める。時計を見ると4時である。友人は私の横で寝ている。私は体を起こすと一気にこみあげるものを感じてそのまま友人の帽子に吐いた。大量の胃液が噴水のように出た。部屋中が酸っぱいにおいで満ちた。こんな匂いを昔修学旅行の時にバスの中でかいだことがあるなあと思いながら帽子の中の吐瀉物を眺める。吐瀉物はほとんど水のような液体でところどころドロッとしていた。私は口中に広がる胃液をもう一度飲みこむとまた吐き気に襲われた。今度は立ち上がってトイレに向かう。トイレでしばらく吐き続ける。ひとしきり吐くとかなり楽になった。それまでのあらしのような気持ち悪さは一気に去り、普段と同じ状態になった。

私は友人の帽子の中身を処理して風呂場で洗濯して干した。友人が目を覚ます頃には乾くだろう。部屋の中に満ちた酸っぱい臭いはタバコでごまかしつつ、クーラーを入れた。

明け方に入れたクーラーは部屋を寒いほど冷やした。私は友人に夏蒲団をかけてあげると今度は歯を磨きに行った。こんな朝っぱらに歯を磨くのは久しぶりだ。

歯を磨き終わってから、なんとなくテレビをつける。テレビはまだ放送を開始してないところが多く、私は電源を切った。電源を切ると友人の顔を眺めていた。幸せそうに寝ている。私はふとここでいきなりこいつの首を締めたらどんな表情をするだろうと想像していた。

この奇妙な衝動は猫や犬にも感じることがあった。もちろん恋人にもだ。信頼しきった無防備な対象がそこにあると私は絶対にしたくないであろう状況を頭の中で妄想する癖がある。

この妄想は非常に強く首に手をかけてるわけでもないが、心臓がどくどく脈打つのが耳の中で響いてくるほどだ。私がこんな妄想をしてるとも知らずに静かな寝息を立てて眠る友人。私は記念撮影することにした。所有する中で一番大きなフォーマットのカメラにフィルムを入れると三脚を立ててそいつと私を撮影した。妄想の殺意を持って友人を眺める私と無防備な友人との記念ショットである。

撮影が終わってコーヒーを飲んでいるとき電話が鳴った。電話の向こうは母親だった。母の親戚がなくなったらしい。私も面識のある人である。私は出向くのは無理なので香典を送るよと言って切った。

どこか死の空気に満ちた酸っぱい朝だった。

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以前から楽しみに拝見させていただいておりました。
一言だけ。

おかえりなさい。
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