大連に期待してはいけないこと

大連は日本人にとってとても住みやすい町である。気候もいい。だが、こっちで多くの日本人が募集されている仕事内容はとんでもなくつまらないものだし、まともな神経をしてたらこんなことを続けていてなんになるのか?という疑問がすぐに起こるはずだ。言い訳のように中国語を話せるようになりたいとかいう人が多いが、そういう人で実際に上手な中国語を話せる人を見たことはない。こっちにいる日本人の多くは日本から逃げ出してきた、あるいは日本で使い物にならなかった人たちだ。いわば日本人の掃き溜めのような場所なのである。

中国に来ればなにかビジネスチャンスがある!そう思い込んでる人も多いが、大連で儲かって成功している日本人というのは今まで自営で見たことはない。こっちで企業を作るとき一番重要なのは発想やサービスではない、人脈なのだ。たいした人脈も持たずにこっちの企業の言うがままに資本を提供し、少なからず損をしながら状況が変化するのではないかという楽観的な見通しでだらだらと大連と日本を行ったりきたりして中途半端な生活を送っているのである。

大連で働くと多くの日本人は中国人よりも3倍から7倍前後の給料で雇われるだろう。わたしのばあいはどこに行っても大体日本円で20万前後の給料を提示される。だが、これは一般的な企業の話で、教師などの仕事では健康保険がない上に4000元前後の給料である。大学の教師などであれば部屋代はかからないのでその点安心といえば安心だが、それでも健康保険がないというのはこの国ではとても不安なことだ。

ほとんどの中国人は月に1000元前後で生きているが、この生活費は日本人には当てはまらない。日本人は部屋を個人で借りるし、外食がメインの大連では食費もそこそこかかる。どこかへ遊びに行こうなんて思っても大連はたいした場所もないし、せいぜい恋人でも作ってデートするのが関の山だ。日本人と違って相手の財布への気遣いはゼロなので、中国女性との交際はそれなりの金が必要になる。まして、外国人であれば金を持ってると思い込まれているのでなおさらである。

中国女性の中には私はインドアなタイプで室内で静かにのんびりしてるのが好きなんていう人がいるが、あれはうそである。基本的に中国人は人混みと騒音を好む。やかましくて耐えられないような場所に行くと、ここは賑やかでいいとか言われる。賑やかとやかましいは違うだろうといつも思う。だから休日のんびりしようなんて考えは彼らにはない。中国人は孤独を極端に避ける傾向がある。一人でいるというのは非常に怖いらしい。思えば騒音と人混みのなかにいるとき、人は個を忘れてただその流れの中に身を任せてしまうものだ。たった一人で部屋なんかにいると自己への探求のような要素も発生するし、なにかしら自分で自分の行動を決めなければならない。中国人が最も苦手とすることである。

こっちにきた当初、人間が生きているのだと実感させられる活気のようなものを感じた。だが、それは錯覚だった。私が活気だと思ったのは実は混乱だったのだ。人々が自分のことだけを考えて行動することで生じるむちゃくちゃな世界を私は活気だと勘違いしたのだった。

大連に住むととにかくほしくなるのが車である。東京にいたとき、車は逆に不便に感じることも多くて電車や自転車を使いまくっていたが、大連では車がないと正直でかける気がしない。車であれば渋滞でもまだ快適だ。どうせタクシーとバスしかないのだから、渋滞はどっちみちさけられない。だが、自家用車であればバスやタクシーの不快さはない。

好奇心の強い人は中国に来て欲求不満になるはずだ。なぜかといえば、好奇心を刺激するものは多い一方でそれに答えられる中国人はほとんどいないから。ほんの数年前のことでさえ、調べれられないようなことだって珍しくないのだ。

中国人は巨大な歴史を持ってるはずだが、現代中国はこの私たちが知っている中国とは歴史的文化的に一切かかわりのない新世界のように感じる。ここ10年でいきなり生まれた新生児のような国だ。さらにいうなら新生児というよりは未熟児なのである。旺盛な新陳代謝を続ける未熟児。世界はこの未熟児の世話を続けるべきなのか。そもそもこの未熟児を生んだ母親は誰なのか?



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