大連で働いてみた印象 02

私は大連に来た当初中国系の企業に入社した。大学を卒業してNECでの社会経験はあったものの、ほんの数年だけで、あとはあちこち転職しながら適当に生きてきたのでビザのこともあるし、大連に住む以上腰をすえて働かなければいけないなという気構えでやってきたのだった。

入るときにどんな仕事であるか聞いたところでは、日本企業との窓口業務ですという。BPOか?というとそうではなく、今にして思えばその会社にいた顧問の補助のような形で私を雇ったように思う。

中国ははじめに仕事あり気ではなく、人事をさっさと用意する。これは前の記事にも書いたが、顧客への有効な宣伝文句になるからだ。で、こうした見込み人事は非常に無責任な展開へとつながる。

入社したはいいものの仕事がとにかくない。結局私を使ってやりたかったプロジェクトは企業の甘い見込みが外れて受注できなかったのである。さらに私の上司に当たる顧問はとにかく私に仕事を回さない。他の中国人も言っていたが、あれほど働いてる顧問の姿はその人が入社してからはじめてみるという。つまり、その顧問は自分の無能さを露呈させんがために、後から来た日本人に仕事を回さないようにする人だったのである。

だが、私からみればこの顧問がこなせるぐらいの仕事量しかないわけで個人的にその顧問は英語力も非常に低い上に国語力も悲惨で、この人の訳したものはどうしようもないものだった。中国人からすれば日本人が日本語を書いてるのだからまともな日本語だろうなんて思っているが、これは大寒違いで、理系の人間はとにかく国語力に関してまともな文章を書ける人は少ない。私などもその一人であるが、文法とかぐちゃぐちゃな人が多いのである。

私の彼女は通訳をしてるのでよく日本の技術者のメールなどを翻訳してるが、私に頻繁に内容の確認をしてくる。それで私も目を通すのだが、自分にしかわからないような略語、これは技術用語ではなく個人で勝手に使い慣れてる言葉を多用し、さらに日本語のよくない点でもあるが、主語と目的語が曖昧というか不在な文章を平気で送りつけてくる技術者が多い。

理系の人は自己中な部分が日本人の中でも多いため、普通の職場であれば矯正されるようなことも同じような人間同士でなかば小さなオタク村を形成してたりするのでこういう外部の人間と接触したときこのような違和感を相手に与えてしまう。

この違和感は日本の掲示板などでも見られる、掲示板というのは必ず常連がいるもので、そうした常連数人が特殊な隠語を作って会話をはじめ、オープンな空間なのに非常に閉鎖的な雰囲気を作ってしまう。

で、話を元に戻すが、この顧問はとにかく新しい日本人が入るのを極端に嫌う人だったため、結果としてわずか2ヶ月で首になった。まあ結構高い給料をもらっていたので特に損はなかったが、会社を辞める当日にビザはあと1週間しか有効ではないと言われたときはあせった。あせって知り合いの日本人企業にビザを預かってもらいなんとか次の仕事までしのいだ。

大体、退職後大連で暮らしてるなんて言うのは、2種類の人間だ。1つは教育に熱心でこっちの大学などで地道に日本語を教えてるような人たちだが、日本ではたいした活動もできないので都落ちしたような感じで暮らしている。

もうひとつは日本の大手企業を退職してからこっちの企業に高額な条件で誘われて王様のような暮らしをしてる人たち。大連にいる日本人は私も含めてみな無能だが、こういう裸の王様による好き勝手な人事に苦労している若い日本人は多い。

こっちでこういう王様みたいな日本人に出会うと彼らはみな同じような雰囲気を持っている。日本にいたときは多分しけたおっさんだったと思うが、大連でちやほやされて身分不相応な収入を得ることですっかり本人はVIP気取りなのである。たいした人間ではないことは少し話してるだけでわかる。だが、本人はその気になってしまってるので自分がどれだけすごいかということを聞かなくてもたくさん話してくれる。だいたい、自分がすごいのを主張する人でろくな人間はいない。

大連人はみなちやほやしてくれるが、日本人となると日本人同士の見方で見られてしまうのですぐに化けの皮がはがれる。なので、こうした顧問はとにかく日本語が話せる中国人と常に行動を共にする。長く滞在していても中国語はまるでできないのもこうした人たちの特徴だろう。

とにかくこういうのが顧問やトップにいる限り、この国の企業の外国企業への方針は変わらないだろうし、日本から優秀な人材が集まることもない。

あとありがちというか日本人がびっくりしてしまうのが、部署が短気でぽこぽこと出来上がっては消えていく様子だ。理由は外国から仕事を引き受けられないのに作ってしまった部署の多さと、引き受けたはいいが、結局仕事ができなくて消滅するタイプの部署である。こうしてなくなった部署に配属された中国人はどうなるかというともちろん首である。日本人はどうかというと部署を移動させられる。1年の間に3箇所も部署移動をさせられたなんて話も珍しくない。

こうした勤務や実情を知るにつれて大連で働くというのは本当に不安定だと思い知る。コールセンターなどの業務は私自身関わったことがないのでよく知らないが、普通の仕事はとにかくこういう世界なのだ。中国人は首を切られてもまだいい。ビザの問題がないのだから。だが、外国人はわずか1週間ほどの猶予しかないビザを抱えてどこへ再就職すれば良いのか。まず1週間だと帰国するにしてもチケットをとることさえ危ない可能性だってあるのだ。そこへ帰国の準備などを考えるとほぼ不可能である。

外資などはこの点でまだ良心的だ。一応1ヶ月前ぐらいには教えてくれる。中国系企業に入ろうと思っている人は少しこれらの点についてよく考えたほうがいいと思う。まあ今年は多分首にされまくる外国人が続出すると思うが。この外国人の中には顧問連中も含まれることを心から望む。


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