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安原製作所回顧録は面白い

GoogleのBookサイトでは本のあちこちが見えないようにされているが、飛ばし読みの感覚でいろいろな本をネットで閲覧できる素晴らしいシステムだ。著作権が切れた本などはすべてのページを読むことができる。いい時代になった。

さて、安原一式という仇花のようなカメラがある。中古カメラ屋でもたまに見かけるのだが、私は興味がなくて触ったこともない。京セラに勤めていた人が個人的思い入れで作り上げたという背景が面白そうなカメラなのだが、私はこの背景についてまとまったものを読んだことがなかった。

Googleでこの本を見つけてつい読んでしまった。読みやすい本でしかもページ数も少ない。今度実際の本を買ってみようかと思う。

安原一式は中国で作ったようで、この中国工場でのエピソードがとても面白く、中国人の性質を観察する私としてはほんの15年ぐらい前の中国が今とまったく変わらない世界だというのが面白かった。

もちろん15年前と今では都市の近代化はだいぶ進んでいると思うが、働く人の意識というのがまるっきり今と変わらないのだ。

詳しくは実際に内容を見ていただくのが一番だと思う。これを読めば中国進出なんていうのがどれほど厄介なことかよくわかるはずだ。

とはいえ、この安原一式、中国がなければ安い工場も作れなかったわけでこんな仇花カメラが量産できたのも中国あってこそともいえる。

もっともこの本の中では中国での工場管理の難しさ、さらにカメラユーザとメーカのずれなんかも書いてある。私が面白いなと思ったのはたとえばライカは市場でかなりのお金が動くが、これに対してライツ社はほとんど儲かっていないということ、確かに中国市場でバルナックやM3といった1930年から1960年までのライカは非常に人気がある一方でM6といった新しいライカは刺して売り上げが伸びていないのだから皮肉である。

私自身クラシックカメラが好きなのではっきり言えるのだが、品物としての存在感や魅力が新しいライカには希薄なのだ。

当時カメラというのは高級品であり、今のように誰でも買えるものではなかった。そういう時代のカメラというのは今では考えられないような手間とコストをかけており、ちょっとした工芸品のようなものだ。

金はあるけどほしいカメラがないというの言葉も出てくるが、まったくそうなのだ。日本人は世界でも稀有な購買力を持っているが、最近は物が売れない、消費が落ち込んでいる。景気が悪くなったから?確かに収入が落ち込んだのは大きな理由であるが、もうひとつ要因がある。それは企業が製造コストを削減したいがために新興国に工場をつくり、安い製品を供給するのが普通になったためだ。

中国で暮らしていると中国の製品の魅力のなさというのをひしひしと感じる。私などはこっちで使っている道具で愛着を感じるのは中華鍋ぐらいで、他のものは消耗品、汚くなったらぼろくなったら捨ててしまおうと思うようなものに囲まれて生活している。

カメラ、時計、万年筆、こうしたものたちは所有する喜びがあり、日常にあるだけで心和む要素がある。所有する喜びを感じさせるのは作りのよさであり、丁寧さであり、分不相応なものであればあるほど、自分の貧しい生活を少しだけ忘れさせてくれるのだ。

有名芸術家の絵を部屋に飾れる人は少ないと思うが、ライカにしろモンブランにしろ、価格はせいぜい20万も出せばいいものが手に入る。こういう贅沢をする心の余裕を求めているのであって、なにもかも現代のコスト削減の産物ばかりに囲まれていては嫌になる。

さて、ライカが売れてもライツは儲からなかったということについてだが、古本も同じような市場である。古書は希少性から異常な高値が付くことがあるが、これは別に著作者には関係のないことで、単純に売買している人たちだけの問題である。

たとえば古いライカが売れたら売れた金額の10パーセントほどをライツ社に支払う義務を生じさせたらどうだろう。同じように古本も中古として売れたとしても著作者にお金が入るようにしたら面白いと思う。こうなれば作家も後々まで残ることを仮定して書くようになるし、カメラにしても後世まで評価が高い製品を作ろうとする、つまり、コストを下げまくった魅力ない製品ではないものが発生する可能性が高くなる。中古市場における元製作者の利益を発生させるのは面白いと思うのだが。

安原一式は面白い実験だったと思う。結果は中古屋を見る限り人気がないしカメラとしては失敗だったのかもしれないが、個人でここまでやれるという日本ではあまりないタイプのベンチャーだったなと高く評価したい。

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